こんにちは。かわ吉です。
先日、以下のご質問を受けました。
『証券会社の担当者より、ティー・ロウ・プライス米国割安優良株式ファンドのDコースの提案を受けています。このファンドはAB米国成長株投信との相性が良いと考えていますが、かわ吉さん的にはこの投信をどのように考えますか??』
ご質問ありがとうございます!!
結論から申し上げますと、アライアンスバーンスタイン米国成長株投信とティー・ロウ・プライス米国割安優良株式ファンドの愛称は、予想分配金提示型ファンドの中だけで言えば、かなり良い組み合わせになると思います。
かわ吉ブログの読者の大半は、アライアンスバーンスタイン米国成長株投信のホルダーだと思います。残念ながら2022年に入ってから基準価格は芳しくありません。株価の底が見えない中、大半のホルダーの方は、このファンドをいつ押し目買いすべきか考えているケースも少なくないはずです。
ただ、今の相場でぶっちゃけ、押し目買いのタイミングを図るのって、至難の業だと思います。
そう考えると、新たに投資する資金があるのであれば、AB米国成長株投信の押し目買いではなく、AB米国成長株投信と相性の良いファンドへの分散投資も有効な投資戦略の1つになると思います。
その分散投資の候補として、どのようなファンドに投資すべきか(もちろん分配金は妥協せずに)という問いについては、このティー・ロウ・プライス米国割安優良株式ファンドが1つの最適解になると感じました。
なぜ、そのように考えたのかその理由について解説していきます。
ではよろしくお願いします!!
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投資方針が180度異なる
私がこれら2つのファンドの相性が良いと考えた一番の理由は、これらのファンドは投資対象が異なっているからです。
この2つのファンドの投資対象を簡単にまとめると以下になります。
アライアンスバーンスタイン米国成長株投信:米国の成長株(グロース株)
ティー・ロウ・プライス米国割安優良株式ファンド:米国の割安株(バリュー株)
グロース株とバリュー株の動きは、基本的に異なることが多いですから相性が良いのです。
そもそもバリュー株って何??
そもそもバリュー株とはどのような株式のことを指すのでしょうか??
バリュー株とは、現在の価値が『企業価値』よりも低い割安な状態の株式を指し、割安株とも言われています。一般的には、株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)を使用して、割安株と判断します。
これらの株式は、景気回復局面、金利上昇局面に優位な株式になります。
ちなみにティー・ロー・プライス米国割安株式ファンドの直近の組入上位10銘柄は以下になります。
そして、セクター別で見ると以下になります。
ヘルスケアの比率が一番高く、それに続いて金融・公共事業・資本財サービスがおおよそ同等の比率といったところでしょうか??
ところでグロース株って何だっけ??
グロース株(成長株)とは、PERやPBRなどの株価指標が割高でも、成長性を有し、業績の伸びとともに、株価の上昇が期待できる銘柄を指します。
これらの銘柄は、アライアンスバーンスタイン米国成長株投信にも組み込まれている銘柄でもありますね。
ちなみに直近の月次報告レポートによると、直近の上位10銘柄は以下になります。
上位10銘柄のうち、6銘柄が情報技術・一般消費財サービス・コミュニケーションサービスなどのグロース株で構成されています。
これらのグロース銘柄は、今のような金利上昇局面には非常に弱い銘柄になります。
どのくらい弱いかについては以下のグラフをご覧ください。
赤枠で囲った部分が、AB米国成長株投信のポートフォリオにも多く含まれている代表的なグロース株が多いセクターの金利急騰局面の騰落率です。セクター別の株式で比較するとワースト3がまさに、このセクターですね。。。
結論、グロース株(=AB米国成長株投信)は金利急騰局面との相性は悪いと考えて良いでしょう。
ちなみに緑色で囲った部分がティー・ロウ・プライス米国割安株式ファンドの組入比率の高いセクターの同様の環境でのパフォーマンスになります。
ぶっちゃけヘルスケアセクターと公共事業セクターについては、必ずしも金利急騰局面に強いとは言い切れませんね。ただ、AB米国成長株投信に多く組み込まれているグロース株と比較すれば、金利急騰時の影響は軽微で済むかもしれません。金融セクターについては、金利急騰局面にも強いと思います。
パフォーマンスで比較してみましょう
これら2つのファンドの直近1年のパフォーマンスを比較してみましょう。
動きとしては、この2つのファンドはほぼ同じような変動になります。一方で、変動幅(リスク)については、AB米国成長株投信よりティー・ロウ・プライス米国割安優良株式ファンドの方が小さいことは一目瞭然です。
金利急騰局面が続く今のような相場では、ティー・ロウ・プライス米国割安優良株式ファンドが有利であることが分かります。
このような相場環境では、グロース株中心のファンドだけではなく、バリュー株中心のファンドを保有することに一定の意味がありそうです。
長期的に見てもグロースが最強ではない
『ぶっちゃけバリュー株なんて、長期的に見ればグロース株に劣後するからそんなもん買わなくOK!!』と考えている人も多いかもしれません。
仮にそう決めつけているなら注意です。3,4年前から投資を始めた人は、グロース株がバリュー株をアウトパフォームしている期間しか体験していません。しかし、もっと遡ってみると、リーマンショック以降の約10年間のパフォーマンスはバリュー株がグロース株を大きくアウトパフォームしていました。
そのような過去もあったことを考慮すれば、グロース株を過信しすぎると長年に渡ってパフォーマンスが劣後し続けるかもしれません。
だから、グロース株中心のファンドだけではなく、バリュー株中心のファンドも併せて持つことが必要かもしれませんね。
バリュー株ファンドを保有するメリット
バリュー株は基本的にボラティリティが低いです。その理由は、バリュー株は投資家から放置されている銘柄であることが多いからです。それにより株価が激しい値動きをする局面では、動きが小さくなる傾向があります。一方で、グロース株などのボラティリティ(変動性)が高い銘柄は、大きな上昇と下落を繰り返すため、保有期間中に「売却した方がいいのでは?」と不安になるタイミングが度々訪れます。したがって、グロース株と比較してバリュー株は心理的に長期投資することに向いています。
直近の相場で、グロース株中心のアライアンスバーンスタイン米国成長株投信のホルダーのみなさまが、このファンドを保有し続けるべきか悩んでいるケースも少なくありません。
それはグロース株の大きな変動によって振り落とされそうになっているからです。もしアライアンスバーンスタイン米国成長株投信1本勝負で、値動きに困惑しているのであれば、やるべきことはアライアンスバーンスタイン米国成長株投信の押し目買いだけではなく、バリュー株など性質の異なる投資対象もPFに入れることだと思います。
投資をする上で何より大切なのは、株式市場から撤退しないことです。どうすれば、自分自身が株式市場から退場しなくて済むか考えることも投資家にとって必要なミッションだと思います。
結論:この2つのファンドの相性は概ね良好
結論として、アライアンスバーンスタイン米国成長株投信とティー・ロウ・プライス米国割安優良株式ファンドの相性は概ね良好です。
理由としては、2つのファンドを併せて保有することで、グロース株とバリュー株のすみ分けがしっかりできるからです。
2021年までの相場はグロース株の大勝利の相場でしたから、優良グロース株の詰め合わせパックであるアライアンスバーンスタイン米国成長株投信1本で十分美味しい思いができました。ただ、現在のような金利急騰局面では、そうはいってられません。
今こそ、投資の基本である分散投資について考えるべきだと思います。
予想分配金提示型ファンドでインカムを狙いながら、バリュー株にも投資していくならティー・ロウ・プライス米国割安優良株式ファンドへの分散投資もアリだと思います。
基準価格も低すぎないので、比較的分配金も狙いやすいのではないでしょうか?
このファンドの概要と注意点
最後に簡単にこのファンドの概要だけまとめておきます。アライアンスバーンスタイン米国成長株投信と比較しながら見てみてください。ちなみにティ-・ロウ・プライス米国割安優良株式ファンドもアライアンスバーンスタイン米国成長株投信同様にA・B・C・Dの4つのコースがあります。
純資産も十分あって、運用管理コストも予想分配金提示型ファンドの中では、比較的良心的な水準になっていますので長期保有する際の負担も小さくなると思います。
ただ注意点として、現時点では販売会社が野村証券1社のみであることです。
販売会社が増えることを祈ります。
以上、お役に立てれば嬉しいです。
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