こんにちは。かわ吉です。
投資信託でインカムを狙うなら、高い分配金利回りの投資信託に投資したいですよね。
もちろん、分配金の『量』と『質』のバランスは重要なので、分配金の利回りのみに着目して投資判断をするのは大変危険です。
しかし、大半の人は時間を掛けて投資信託の分析する時間がありません。
そこで、かわ吉ブログではそのような投資家のために投資信託を分析する記事を定期的に書いています。
今回、分析するファンドは『米国株式配当貴族(年4回決算)』です。
このファンドは年4回決算で2019年4月以降、分配金を増配し続けています。予想分配金提示型ファンドの低迷によってインカムが狙えていない投資家に新たなインカム源になるかもしれません。
この記事が、インカム狙いの読者の資産運用の一助になれば幸いです。
ではいきましょう。
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①ファンドの概要

まずはこのファンドの概要からまとめます。
委託会社 | 野村アセットマネジメント |
純資産(2/21) | 872億円 |
基準価格(2/21) | 17,108円 |
決算頻度 | 年4回(1月・4月・7月・10月の22日) |
設定日 | 2018年11月14日 |
償還日 | 2028年10月23日 |
信託報酬 | 年率0.55% |
信託財産留保額 | 0.1% |
このファンドの概要から以下のことが分かります。
・純資産は872億円あり、早期償還のリスクは低い
・償還日まで5年程度あり、長期保有もOK
・信託報酬は安め
・年4回決算のため、毎月インカムを狙いたい投資家にとっては力不足かも
・基準価格も10,000円を大きく超えておりたこ足分配にもなっていない様子
②ファンドのコンセプト
このファンドのコンセプトは以下になります。
特色①:米国の株式を実質的な主要投資対象とし、S&P500配当貴族指数(配当込み・円換算ベース)の動きに連動する投資成果を目指して運用を行います。
→つまり、このファンドはアクティブファンドではなくインデックスファンドです。
ちなみにS&P500配当貴族指数とは、S&PDow Jones Imdices LLCが開発し算出している米国の株価指数です。当該指数は、S&P500指数の構成銘柄のうち25年以上連続で増配している銘柄を対象とし、均等加重により算出されます。年次見直し時の構成銘柄数は最低40銘柄とし、25年以上連続で増配している銘柄が40銘柄を下回る場合は、20年以上連続で増配している銘柄を配当利回りの高い順に40銘柄になるまで追加します。40銘柄に満たない場合は、配当利回りの高い順に40銘柄になるまで追加します。
特色②:実質組入外貨建資産については、原則として為替ヘッジを行いません。
③具体的な組入銘柄と投資比率
国別の投資比率については、米国100%です。
では次に組入上位10銘柄をチェックします。

組入上位10銘柄の業種はしっかり分散されている印象です。
では業種別投資比率について見てみます。

生活必需品や消費財の比率が高い傾向がありますが、全体的にはしっかり分散投資されている印象を受けます。
ただ、これだけではこのファンドのリスク度合いがイメージしにくいので、この投資セクターを金利敏感株・景気敏感株・ディフェンシブ株の3つに分けて分析してみましょう。

参考:ポートフォリオを以下の3つに分けることで、そのファンドのリスクがざっくりではありますがイメージできます。
①金利敏感株:金利動向の影響を強く受ける銘柄でリスク度合いが大きい
②景気敏感株:景気動向の影響を強く受ける銘柄でリスク度合いは大きい
③ディフェンシブ株:金利動向や景気動向に左右されにくい銘柄で比較的リスク度合いが小さい

このことから以下のことが推測されます。
①ポートフォリオの大半は景気敏感株で構成されているため、景気拡大局面との相性はOK
②金利敏感株の比率が低いため、金利下落局面での上昇率は悪いかも
③ディフェンシブ株の比率も30%あるため、リスクは若干抑えらえているかも
このファンドのリターンとリスクをその他のファンドと比較してみます。
まずはリターンから比較してみます。

次にリスクを比較します。

最後に基準価格の推移を見てみます。

この4つのファンドの中では、直近3年以内では比較的リスクが低いファンドという認識でOKです。
リスクを落として年1.5%程度の分配金利回りで満足できる投資家であれば最適なファンドの1つとなりそうです。
④分配金実績
では最後にメインの分配金実績についてチェックしてみます。

2019年4月以降、分配金は増配基調となっています。直近の分配金は、当初の1.5倍となっています。
分配金利回りにすると1.4%程度なので少し低いですね。ただ過去に一度も減配になっていないのは、投資家として心強いですね。
しかし、いくら増配基調でも基準価格が右肩下がりであれば、分配金の原資が投資元本であるたこ足ファンドです。基準価格が分配金を出しながらも右肩上がりのファンドであれば本物のインカムファンドです。
では設定来の基準価格の推移を見てみましょう。

現時点では基準価格がしっかり右肩上がりで推移しているので、たこ足ファンドではなさそうです。ちなみに設定来のパフォーマンスは+71.08%です。素晴らしい上昇ですね。
結論:馬力はないが悪くないファンド
今回は、米国株式配当貴族(年4回決算型)について解説しました。
結論として、このファンドは検討の余地があります。
そのように考える理由は以下になります。
分配金は連続増配中で減配の実績なし
基準価格も右肩上がりでたこ足分配ファンドではない
信託報酬も年0.55%とかなり安い
ただし気になる点もあります。
年4回決算のため、分配金の量は多くない
景気敏感株の比率が高いので景気後退局面には注意した方がよいかも
以上の点から考えると、インカムファンドとして投資価値はあると考えます。金利敏感株の比率が高い投資家が分散投資の対象として検討するには悪くないと思います。その代わり狙える分配金はそこまで多くありません。
ちなみに、このファンドの販売会社は以下になります。

SBI証券や楽天証券などの大手ネット証券での取り扱いもあります。ただし野村證券・大和証券などの大手証券会社では取り扱いがない点には注意です。ちなみに松井証券での取り扱いもあります。
松井証券では、当社が受け取る信託報酬のうち0.3%を超える部分を全て投資家に還元する『毎月投信現金・ポイント還元サービス』があります。
信託報酬が高いファンドほど松井証券で保有すればかなりお得です。しかし、今回のファンドは当社が受け取る信託報酬が0.3%未満なので本サービスの対象外です。ご注意ください。
信託報酬の高いファンドへ投資する際は、是非松井証券を活用してみてください。
以上、お役に立てれば嬉しいです。
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