投資信託

【混ぜるな危険】米国ハイイールド債券と米国株の組み合わせはリスクヘッジになるか?

2021年8月19日

こんにちは。かわ吉です。

株式と債券は伝統的な投資資産です。歴史も長く、動きも負の相関であるため逆の動きをします。なのでこれらの資産を組み合わせることでリスクをコントロールすることができます。

ただこれらの資産を分散投資をして自分で管理するのはかなり手間がかかります。

これらの伝統的な資産である株式と債券をあなたの手間を掛けずに組み合わせてあなたに合った運用をしてくれるがファンドラップです。

ファンドラップの仕組みはめちゃくちゃ良いのですが、運用管理コストの高さがネックになっています。

そのようなこともあり、自前でコストの安いETFなどを組み合わせてオリジナルのファンドラップを作ろうとする人もいます。

債券の投資対象としては米国債が王道ですが、コロナショック以降の金融緩和の影響もあり利回りは低下しています。

出所:JPモルガン

分散投資とはいえ、利回りが低いと面白くないですよね。ベストは分散することでリスクヘッジもできて利回りも高い資産です。そこで赤丸で囲った米国国債の右側を見てみると米国ハイ・イールド債券があります。しかも、金利は3.9%と米国の高配当株式と同等です。

『米国国債より米国ハイ・イールド債券をポートフォリオに組み合わせればリスクヘッジもできて高配当も狙えるじゃん!!』と考えたあなたは危険です(笑)

なぜ危険なのかということについて今回は解説していこうと思います。

この記事を読んでいただくことで米国株式と米国ハイイールド債券の組み合わせはリスクヘッジにならないこととその理由、結局はどの資産を組み合わせれば良いのか分かるようになります。

ハイイールド債券についても解説するので、ハイイールド債券についての知識が無くても大丈夫ですのでご安心ください。

ではいきましょう!

米国ハイイールド債券と米国株の組み合わせはリスクヘッジにならない

結論としては、米国ハイイールド債券と米国株式の組み合わせはリスクヘッジになりません。

理由としては、米国ハイイールド債券と米国株式は逆相関にないからです。赤丸で囲っているところをご覧ください。直近10年の相関関係は0.77で直近3年の相関関係は0.81です。

出所:JPモルガンアセットマネジメント

リスクヘッジになる組み合わせの条件としては、相関関係がマイナスであることです。相関関係がマイナスということは、片方の資産価格が上昇したときにもう1つの資産価格は下落することになります。

相関関係がプラスの資産の組み合わせでは、それぞれの資産が同じ動きをするので分散の効果が発揮されません。

米国ハイイールド債券と米国株式の相関関係は『+1』に近いのでほぼ同じような動きをします。

なのでリスクヘッジの面で見れば、米国ハイイールド債券と米国株式の組み合わせは分散の効果があまりありません。

米国株式などの株式との最適な組み合わせとしては、米国債券が逆相関なので適しています。水色で囲った部分を見ていただくと一目瞭然です。

米国ハイイールド債券がリスクヘッジにならない理由

そもそもハイイールド債券とは投資適格社債に比べ、一般的に発行体の信用力が低い一方で利回りが高い特徴があります。投資適格社債がAAA格からBBB格までの格付を付与されたものであるのに対して、ハイイールド債はBB格以下の格付を持ちます。

ハイイールド債券の発行体企業は、設立から間もない企業や、競争や変動が激しいセクターの企業、ファンダメンタルズが相対的に不健全な企業である場合が多いです。

なので景気が悪くなると、これらの発行体である企業のデフォルト(借金が返せない)率が跳ね上がりますからハイイールド債券の価格は下がります。

一方、景気が良くなるとこれらの企業のデフォルト率が低くなりますから高金利を狙いたい投資家からの買いが入りますからハイイールド債の価格は上昇します。

ということは基本的は株式と動きが一緒なんです。

出所:楽天証券

青色が『みずほUSハイイールドオープンBコース』でオレンジ色は『アライアンスバーンスタイン米国成長株投信Bコース』です。

赤丸で囲った去年のコロナショックでは、下落幅は異なりますが同じように下落しています。その後は、上昇に転じています。

ハイイールド債券の特徴上、同じような動きにならざるを得ないです。『債券』という名前はついていますが、国債や投資適格社債とは別モノと考えた方が良いと思います。

結局は米国債と合わせると吉

『米国ハイイールドとは合わないことは分かったけど、結局は何と合わせて投資したら良いの?』というと問いに関しては、『米国国債』です。

出所:JPモルガンアセットマネジメント

米国債券と組み合わせることでリスクヘッジはできます。デメリットとしては、低金利ということです。

出所:JPモルガンアセットマネジメント

リスクヘッジを優先するのであれば、現状では低金利のデメリットは甘んじて受け入れるしかなさそうです。

まとめ

リスクヘッジをするのであれば株式と債券を組み合わせるのが最適です。ただ米国国債も低金利で面白くありません。リスクヘッジもできて高配当も狙える資産を探している方がたどり着くの資産の1つがハイイールド債券でした。

ただ『債券』という文言がありますが、米国国債や投資適格社債とは全く別物です。格付けの低い発行体の債券ですから、景気後退時はデフォルト率が上昇するため資産価格が下落します。なので株式とほぼ同じような動きをしますから、リスクヘッジにはならないんです。

『債券』という文言につられないよう気をつけましょう。

今のところは、低金利ですが米国国債をリスクヘッジで組み合わせるのが最適解だと思われます。

以上です

ではまた

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