その他インカムファンド

【驚きの事実】ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)がたこ足分配ファンドか否か分析してみた

2023年7月31日

こんにちは。かわ吉です。

たこ足分配ファンドとは、分配金の原資が運用益ではなく投資元本を切り崩して、分配金に充当しているファンドのことです。毎月分配型ファンドが、たこ足分配ファンドになりやすい傾向があります。

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)は、毎月分配型で基準価格も2,000円台となっているのでたこ足分配の可能性が高いと感じていました。

だた感覚ではなく、数字で比較するとこのファンドが必ずしもこのファンドがよくあるたこ足分配ではないことが分かりました。

今回は、そのことについて3つの数字で比較しながら説明します。

この記事が読者の資産運用の一助になれば幸いです。

ではいきましょう。

かわ吉はツイッターもやっておりますので是非フォローをよろしくお願いします。

①本当の利回り

毎月分配型など分配金が出る投資信託の実力を見るために重要なデータの1つ目は、「利回り」です。

分配金の本当の利回りとは、基準価格が下落した時は、1年間の分配金合計額から下落分を差し引いた「正味の分配金」を1年前の基準価格で割って算出します。なぜなら、分配金が出たとしても、その分だけ基準価格が下落していれば、それこそたこ足分配となっているからです。

つまり、本当の利回りを計算するには、たこ足分配分を除去する必要があります。もし、分配金合計額以上に基準価格が下落したら、本当の利回りはマイナスとなり、分配金全額がたこ足分配(元本取り崩し)ということになります。

一方で基準価格が上昇しているときは、分配金は全て利益から出ているため、単純に1年間の分配金合計額を1年前の基準価格で割って算出すればOKです。

直近の決算である7月10日の基準価格は2,661円でした。そして、1年前の基準価格は2,795円でしたので、基準価格が下落した場合のケースで本当の利回りを計算してみます。ちなみに直近1年の分配金合計額は240円でした。

計算した結果は以下になります。

3.79%=(240円-134円)÷2,795円

直近1年の分配金利回りは、+3.79%となりました。つまり、ここ1年はたこ足分配になっていないことを示しています。

しかし、単年では全体像を把握できないので、2007年6月を起点に1年毎の本当を分配金利回りを推移をチェックしてみましょう。

比較したグラフは以下になります。

リーマンショックがあった2008年前後は、利回りが大きく低下しています。しかし、それ以降はマイナスに転じる年もありましたが、全体的には本当の利回りがプラスである年の方が多いです。

この利回りがマイナスであれば、分配金の原資が投資元本の比率が高いことを示しますので、「本当の利回り」はプラスである年が圧倒的に多いのでこのファンドは、よくあるたこ足分配ファンドとは少し異なると思います。

②分配健全度(分配金の健全度)

重要なデータの2つ目は、「分配健全度」です。分配合計額から下落分を差し引いた「正味の分配金」が分配金合計額のどれくらいを占めるかによって、健全度を測るものです。下落幅が大きく正味の分配金が少ないほど、健全度は悪化します。一方で、基準価格が上昇していれば、利益からすべて分配金が出ていることになり健全となります。

①と同じ期間で健全度を測ってみます。

44.2%=(240円-134円)÷240円

これはつまり、直近1年の分配金のうち44.2%が利益から支払われていることを示します。

こちらも単年では、全体像を把握できなので①と同じ条件で年間の推移を比較してみます。

その推移をグラフでまとめた結果は以下になります。

リーマンショック前後の健全性は低いですが、それ以降は良い年の方が多いです。

2010年・2012年・2013年・2014年・2020年・2021年の5年における分配金の原資は運用益から出されたことになります。

一方で2008年・2011年の2年間の分配金は、すべて投資元本から充当されたことが分かります。

分配金の原資が全て運用益から出た年も多いですが、全て投資元本から払い出いた部分も多い点は注意ですね。

③分配余力(分配可能月数)

3つ目の重要データは、「分配余力」です。これは分配原資が月々の分配金の何か月分あるかを示しており、蓄えられている原資が少ないと分配余力が低下し、今後の減配や元本取り崩しに繋がりやすいので要注意です。

2023年7月時点の分配可能月数は以下になります。

133か月=2,661円÷20円

分配可能月数は133か月となりました。これは、今の分配金の水準を133か月は維持できる体力があるということです。

133か月あるからといって、減配にならないわけではありませんが、毎月分配型ファンドの中では、比較的この数値が大きいファンドと言えます。

分配金利回りの高いファンドたちと比較すると、分配可能月数はほぼ2倍となります。

いかにこのファンドが無理のない分配金を設定しているかが良く分かります。

まとめ

今回は、ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)がたこ足分配ファンドか否かを分析してみました。

結論としては、たこ足分配である点は否めません。ただ、よくある高い分配金利回りで投資家の関心を集めて、分配金の原資の大半が投資元本であるファンドとは少し異なると感じました。

その根拠は、基準価格の下落分も考慮した「本当の利回り」がプラスである年が多いことに加えて、分配可能月数もよくある毎月分配型ファンドの2倍以上合った点です。

一方で、分配健全性は決して悪い数字ではありませんでしたが、年間の分配金の原資がすべて投資元本だった年もあり、たこ足分配ファンドの特徴もしっかり出ていました。

インカム狙いの投資家に、圧倒的な熱量でオススメできるファンドではないけど、インカム源の1つとして活用したいのであれば採用してもOKかなと感じたファンドでした。

以上、参考になれば嬉しいです。

このブログでは以下のような記事も書いています。



-その他インカムファンド