経済の話

【ミャンマーに異変??】投資家は注意すべきか??

2021年2月15日

こんにちは。かわ吉です。

ミャンマーが混乱しています。これによって、ロヒンギャ問題が一層悪化しかねないこと、そしてこれが国際社会の混乱に繋がりかねません。

この問題は投資家にとっても非常に重要な問題です。

ミャンマーは東南アジアに位置する共和制国家(君主を持たない政治体制)でインドやバングラディッシュ、タイに隣接しています。

出所:外務省

首都はネピドーで最大都市はヤンゴンです。もともと首都はヤンゴンでしたが2005年に山奥にあるネピドーに遷都しました。遷都した理由は、当時の軍事政権が占星術によって決めたとも言われています。もしこれが本当であればヤバイかもしれませんね。

ミャンマーは民主化を目指しているアウン・サン・スーチー氏率いるNLDと、軍が国を支配することを目指しているUSDPで対立しています。かつてアウン・サン・スーチー氏は20年間、自宅で軟禁されていました。しかし、1991年に自宅軟禁になりながらもノーベル平和賞を受賞しました。ただ、最近はロヒンギャ問題の対応が不誠実だとして賞が次々とはく奪されていて、国際社会からの評価はがた落ちしています。ただ、ミャンマー国内では絶大な人気があります。昨年11月の選挙では83%もの議席を獲得していてNLDがUSDPに圧勝しています。

しかし、それに危機感を抱いたミャンマー軍は、総選挙は不正だと決めつけてアウン・サン・スーチー氏をはじめ、政権首脳を相次いで拘束したんです。これによってロヒンギャ問題の悪化が懸念されているんです。

ロヒンギャ問題の『ロヒンギャ』とは、ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ族のことで、人口は200万人いるとされています。

この200万人のロヒンギャ族は、ミャンマーの軍事政権によって、虐殺やレイプなどの迫害を受けています。そして、ロヒンギャ族は隣国のバングラディッシュやタイなどに難民として押し寄せているんです。このロヒンギャ問題に対して、アウン・サン・スーチー氏は何も対応しなかったことで国際社会から非難を受けています。

なぜ、アウン・サン・スーチー氏は、ロヒンギャ問題に対して何の対応もしなかったのでしょうか??

それは、そもそもミャンマー人は、ロヒンギャ族をバングラディッシュからの不法移民だからと考えているからなんです。ロヒンギャ族は商売上手であることから、仕事を奪われかねないという危機感がミャンマー人の間で強まったほか、ロヒンギャ族はイスラム教徒で避妊が禁止されているから、人口が増加して最終的に仏教徒のミャンマー人を脅かす存在になると懸念されているんです。

こうした考え方は、ミャンマー人ではNLD支持者やUSDP支持者も同じ意見なんです。アウン・サン・スーチー氏は民主化を進めてきたからこそ国民の声に耳を傾ければ、ロヒンギャ族をミャンマー人として認めることができないんです。

また歴史を振り返ると、ロヒンギャ族はもともとミャンマー南部にある集落に住んでいる民族でしたが、第二次世界大戦中、イギリスがミャンマーを植民地化したときその集落の一部をインドの一部にしたんです。そして第二次世界大戦が終わるとイギリスには、ミャンマーを植民地支配できるだけの経済力は残されていませんでしたからミャンマーから撤退したんです。すると、ロヒンギャ族が多く住む集落の人々は、インド人でなければミャンマー人でもなくイスラム教徒が9割を占めるバングラデシュ人でもない難民状態になったんです。

つまり、ロヒンギャ族が難民になってしまった責任はイギリスにあるわけなんですが欧州メディアはロヒンギャ問題をイスラム教と仏教の対立問題にすり替えてすべてミャンマーのせいにしているんです。

そして問題が大きくなったのは90年代にバングラディッシュが国境封鎖をしてロヒンギャ族の入国を禁止したときでした。その後、行き場を失ったロヒンギャ族は、国際的な人身売買組織のブローカーによってマレーシアやインドネシア、タイなどに売り飛ばされてしまいました。2015年にタイ政府が人身売買における規制を強化したことで、ロヒンギャ族は餓死したり、ミャンマーに不法入国することで、ミャンマー軍によって殺害されるなどの迫害を受けるようになりました。

ロヒンギャ族も経済的な不安から、本来子どもを育てる余裕もないはずですが、イスラム教によって避妊は禁止されていますから、人口はどんどん増えてしまって誰も手が付けられない問題にまで発展したんです。

このように、ロヒンギャ問題が悪化している中で、ミャンマー軍が政治を掌握すればロヒンギャ族を不法入国とみなして虐殺がさらに増加する可能性があります。難民が東南アジア諸国に流入することで、新興国経済への影響もあります。

日本や欧米などの先進国各国はミャンマー経済が停滞しても、経済的打撃がほとんど受けないから、問題を解決するインセンティブがないんです。ロヒンギャ問題の責任は、すべてミャンマーに押し付けて自分たちは、『虐殺は許されない』と正論を言っていればいいんです。

ロヒンギャ問題解決への道のりはまだまだ長そうです。

しかし、ミャンマー軍によるクーデターでミャンマーが国際社会から孤立する可能性があります。しかし、これによって得をする国があります。

そうです。中国です。

なぜかというと、ミャンマーは中国と対立するインドに隣接しておりタイやバングラディッシュとも隣接していることから、中国にとってミャンマーは東南アジアや南アジアに抜ける足掛かりとなるんです。

だから、今回のミャンマー軍のクーデターは長期的に見れば中国がさらなる大国に成長するきっかけになるだけではなく国際社会の混乱に発展する可能性もあるんです。

これが何かの火種にならなければ良いのですが。。。

注視していた方が良さそうですね。

ではまた

本日のオススメ書籍はこちら


ロヒンギャ問題に対してより深く学ばれたい人はご参考ください。

-経済の話